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行政書士マニュアル(2)

開業するからには、行政書士のことをよく知っておく必要があります。
ここでは、行政書士に関する基本的な事項を御紹介いたします。

事務所の開設について

行政書士は、次のように区分されます。

  1. 個人開業行政書士
  2. 行政書士法人の社員行政書士
  3. 個人開業行政書士又は行政書士法人に雇用される使用人である行政書士

行政書士(行政書士の使用人である行政書士又は、行政書士法人の社員若しくは使用人である行政書士を除く。)は、その業務を行うための事務所を設けなければなりません。事務所は2以上設置できず1か所に限られます。

事務所を1人1か所に限定しているのは、行政書士の資格は特定の個人に与えられるものであり、もし複数の事務所を持つことを許すと、その業務処理の公正、正確、迅速な遂行に欠け、依頼者の権利を損なうおそれがあるからです。

事務所は、行政書士が業務に従事する本拠であり、行政書士個人としての住所とは異なるものですが、住所と事務所が同一の場所であってもかまいません。
また、数人の行政書士が同一の建物(部屋)に事務所を設けることも可能です。

法人等の事務所内に行政書士事務所を設置する揚合は、行政書士事務所としての独立性を確保しなければなりません。

<留意事項>

  1. 事務所の使用権が明確でない場合には、行政書士事務所の管理や運営の主体が当該行政書士から離反することは必至であり、行政書士事務所としての正常な運営が図れないため、賃貸借契約の締結を明確にする必要があります。
  2. 行政書士の公正保持に関する諸規定(守秘義務、不当誘致、帳簿の備付及び保存、依頼拒否等)に抵触することがないような事務所の形態を確保する必要があります。
  3. 行政書士事務所の位置、区画等が不明確なものについては、建物構造上の改善を図り、事務所の独立性を確保する必要があります。(出入口、間仕切り、机の配置、電話の設置等)なお、使用人である行政書士は、業務を行うための事務所を設けることはできません。
事務所の名称について

行政書士法の「事務所の名称」は、登録事項です。

この事務所の名称は、法施行規則第2条の14の規定による「行政書士の事務所であることを明らかにした表札」とは異なります。

事務所の名称については、日行連会則第60条の2で「単位会の会員は、その事務所について、他の法律において使用を制限されている名称又は品位を害する名称を使用してはならない。」と規定しており、具体的には「事務所の名称に関する指針」により、次のように定められています。

①「行政書士」の明示
事務所の名称中には、「行政書士」の文言を明示することが望ましいとしている。

②同一名称の使用禁止
個人開業行政書士がその氏又は氏名を使用する場合、行政書士法人がその社員の氏又は氏名を使用する場合及び個人開業行政書士が行政書士名簿に登録されている事務所の名称を当該会員が社員となって設立する法人の名称として使用する場合を除き、同一名称の使用を禁止している。

③制限事項
他の法律において使用を制限されている名称、他の資格や国又は地方公共団体の機関と誤認されるおそれのある文言が含まれる名称、行政書士の品位を害する名称は、使用不可としている。

④名称使用の責任
行政書士名簿登録後の事務所の名称に関する問題は、自己責任を原則としている。

また、行政書士及び行政書士法人は、その事務所に行政書士の事務所であることを明らかにした表札を掲示しなければなりません。

報酬について

行政書士の受ける報酬の額については、行政書士法により、報酬の額を個々の行政書士が自由に定め、日本行政書士会連合会が定める様式に準じた表(報酬額表)により事務所に掲示すること。

あわせて、行政書士会及び日本行政書士会連合会は、依頼者の選択及び行政書士の業務の利便に資するために、行政書士の受ける報酬の額について、統計を作成し、これを公表するよう努めなければならないとされています。

行政書士の受ける報酬の額は、行政書士業務の処理に関する委任契約に伴う報酬契約によるものであり、依頼者と行政書士の自由意思に基づくものです。

報酬の額は行政書士個々が自由に設定できますが、独占禁止法では不公正な取引方法として「不当廉売(※)」を禁じています。

※  不当廉売=正当な理由がないのに商品又は役務を、その供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、その他不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること。

また、依頼人の依頼しない書類を作成して報酬を受け、又はみだりに報酬の増加を図るような行為は禁じられています。

報酬の支払時期は、依頼者との協議により決めますが、支払時期の約定がなければ後払いとなります。

ただし、実費(印紙、証紙、予納郵便券代、予納金、旅費、宿泊料、交通通信費等)その他依頼された事件の処理に必要な費用は報酬ではないので、報酬の支払時期に関わらず別途支払いを受けることができます。

なお、依頼者から報酬を受けた場合には、正副2通の領収証を作成して、記名し職印を押して依頼者に交付し、副本は作成の日から5年間これを保存しなければなりません。

<報酬額算出方法の一例>
行政書士の受ける報酬の額については、個々の行政書士が自由に設定できます。報酬の額については以下の算出方法が考えられます。

①時間原価積算的手法
報酬額=受託事件処理に要した直接従業員数の総時間×1時間あたりの原価+直接経費+考案料等1時間あたりの原価=〔直接経費+間接経費〕÷〔実勤務日数(365 -休日)×8時間×従業員数〕

②枚数単価的手法
枚数単価による報酬額

③ 成功報酬による手法
例:制度資金融資申請書、国民生活金融公庫の各種融資など

④相場・統計による手法
統計数値、他事務所の報酬額等を参考に額を決定

行政書士マニュアル
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