行政書士マニュアル(3)
開業するからには、行政書士のことをよく知っておく必要があります。
ここでは、行政書士に関する基本的な事項を御紹介いたします。
- 秘密を守る義務について
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行政書士は、正当な事由がない限り、その業務上取り扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはなりません。
これは、行政書士の業務が、依頼人の権利義務と密接な関係をもつものであるため、依頼を受けた事件に関連し個人の秘密を知る場合が多いことから行政書士に守秘義務を課したものです。
正当な理由とは、本人の許諾や法令の規定に基づく義務があること等をいいます。
また、登録を抹消され行政書士でなくなった後であっても、業務遂行上知り得た秘密については、正当な理由がない限りその秘密を守らなければなりません。
- 依頼に応ずる義務について
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行政書士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことはできません。
正当な事由とは、病気、事故等、行政書士が業務を行い得ない場合のほか、依頼人がその書類を犯罪その他不法な用途に供する意図が明白な場合、あるいは行政書士の業務の範囲を超え、他の法律に制限されている業務の依頼である場合、また、依頼された事件が多く、依頼人が希望する日時までに業務を完了できない場合等が考えられます。
行政書士が、正当な事由がある場合において依頼を拒もうとするときは、依頼人にその事由を説明しなければなりません。
依頼人の要求がある場合には、その事由を記載した文書を交付しなければならないこととされています。
- 関係帳簿の備付けと保存について
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行政書士は、所定の事項を記載した業務に関する帳簿を備え付けなければなりません。
帳簿に記載すべき事項
これは、行政書士業務の適正な運営を確保し、併せて都道府県知事の監督の便に資するために要求されているものです。- 事件の名称、すなわち、依頼に応じて作成等した書類の件名
- 作成等の年月日
- 依頼人から受けた報酬の額
- 依頼人の住所、氏名
- その他都道府県知事の定める事項
都道府県知事の定める事項は、それぞれの都道府県の実情に応じて規則(法施行細則等)で定められていますが、作成した書類の枚数及び依頼を受けた順序を示す番号を記載すべき旨が規定されている例が多いようです。
行政書士は、後日の証拠等のために業務に関する帳簿をその関係書類とともに、帳簿を閉鎖した時から2年間保存しておかなければなりません。
関係書類とは、報酬を受領した場合に依頼人に交付することとされている領収証の副本等です。
なお、帳簿と一緒に保存される関係書類のうち、報酬の領収証の副本については、その作成のときから5年間保存しなければならないこととされています。
さらに、行政書士でなくなった場合にも、その行政書士でなくなったときから2年間、帳簿を関係書類とともに保存しておかなければならないとされています。
- 業務の公正保持と迅速な処理について
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行政書士は、その業務を行うに当たっては公正でなければならず、親切、丁寧を旨とし、不正又は不当な手段で依頼を誘致するような行為をしてはなりません。
不正、不当な手段での依頼の誘致とは、依頼人の不慣れ又は不知であることを悪用して報酬を得るためにその依頼を誘致する等の行為をいいますが、事務所の所在地、取扱業務内容等を通常考えられる宣伝方法により一般に知らせることまで禁止したものではありません。
行政書士は、依頼された書類が緊急のものであったり、あるいは、その依頼の順序によって作成するならば、依頼人のその書類の官公署への提出期限に間に合わないような正当な理由のある場合のほかは、依頼の順序に従って迅速な処理をしなければなりません。
なお、広告に関する活動については、不公正な競争手段(他の会員の誹謗・中傷、正常な商慣習に照らして不当な金品等の提供や供応)による顧客の誘致は禁止されています。
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